おはようございます、ペットメモリアルRinneの浅香です。
昨日から雨模様。よく降ってます。すばる(うちの柴犬)の散歩は憂鬱。…すばるは合羽さえ着なければ雨だろうと台風だろうと割と軽快に行きますが、連れて行くこっちは大変です。
さて、先日《渡辺哲雄》さんという方の講演を聞きました。
渡辺さんは日本福祉大学中央福祉専門学校専任教員・岐阜県ソーシャルワーカー協会会長を務めていらっしゃる方で、2006年5月16日まで12年にわたり中日新聞の生活・くらし欄に《老いの風景》というコラムを連載していました。
その《老いの風景》を始めとして《忙中漢話》《認知症ストーリー・ケア》《男の日傘》などいろんな著書があります。
そんな渡辺さんが、いろんな経験を元におもしろい喋り口で2時間の講演をされました。
話を聞いていて思ったのですが、渡辺さんは本当に頭の回転が早く、次から次へといろんな言葉が出てくる人です。発想力の高さ豊かさは天下一品です。そして人をひきつける話術、内容はすごいと思います。
著書の中に《忙中漢話》というのがあり、一文字の漢字からその漢字を紐解いていくと予想外の展開となるという本なのですが、その本についての話がまたおもしろおかしくて、いつのまにか『本を買って読みたい!』という心境に引っ張っていくんですよ。…あの講演会だけで何冊本が売れたことか。
とにかく渡辺さんの言葉の使い方には賞賛しました。
《認知症ストーリー・ケア》という本に書いてあるとおっしゃっていましたが、認知症の診断を受けさせるための《秘策》があるという話もおもしろかったです。
高齢者は、年をとると段々頑固になって他人の言うことを聞かなくなります。その上プライドだけは高いんですよねぇ。…私もその傾向は出てきました。
で、認知症の初期段階が現れ、『なんとか医師の診断を早く受けさせたい』と思っている家族が、『お母さん(あるいはお父さん)、最近おかしなこと言い出したり物忘れが激しいから、お医者さんに診てもらおうよ』と言います。
そうすると『私ゃまだボケとらん!病院なんかに行かん!』とかたくなに拒否します。…これは《あるある》です。
ですが渡辺方式を使うと、逆におじいちゃん・おばあちゃんの方から『早く病院へ行こう。予約とってくれ』と言うように仕向けられるんです。
それはどんな方法かというと、『母ちゃん、あんた最近ちょっと物忘れとかするようになってきた?…まあ、年相応だわな。あんたたちの年齢ならみんな物忘れもするようになるわ』
『だけどねぇ、最近の医学は発達して、その物忘れを食い止める《薬》ができたの知っとる?』と世間話風に言う。
すると年寄りは『へえ、そんな薬が開発されただかん?』と。『ほいでも、そんな薬飲んでも良くはならんだら?』と言ってきたとします。『いやいやそれが結構効くらしいわ』と大袈裟に言う。
『だけどその薬は薬局には売っとらんだ。医者に処方箋を書いてもらわんと手に入らんのが厄介だわ。だで、とりあえず病院に行かんと出してくれんだな』ともったいぶったように言う。
それに加えて『ほいだけど病院に行くと、なんだかわけわからん質問されたり問題を出されたりするだよ。あんた、そんなのやりたくないら?面倒くさいじゃんか。だもんで病院なんか行くことないて』と言うと、『うんにゃ、病院行かんと薬が出んなら、とりあえず行きゃあイイわ』という流れになるということです。
こんなに上手くいくかどうかわかりませんが、人間の心理として『行かんでもイイ』と言うと『行きたくなる』のもあるかも。
渡辺さんは《言葉の魔術師》だなぁ…と感心しながら講演を聞いてきました。
コメント